佐藤りえ装丁・手製本(和装本)早坂類 小説『睡蓮』


小説『睡蓮』は「睡蓮とトデチの特異な愛の物語である」と、作者の早坂類さんは言います。
黒い本を思いつく一方で、まっとうな書物のかたちから少し逸脱した、そんな本にしたい、という欲望がめばえました。

物語を上下に分け、和本にしよう。上巻を夜の黒、下巻を薄明の白にしよう。と思い立ち、表紙はそれぞれ別の素材になりました。本来和本をくるむのに多用されるのは帙ですが、もっとカジュアルな外装はないか…と、つばくろを作ってみることにしました。

基本的に和本の技法・規格を取り入れて作成していますが、いろんな意味で「逸脱した」本になりました。

縦書きですが横長の本です。
上巻の表紙は「ロクタ紙」というネパール産の手漉き紙です。
つばくろの外側の白い紙と、リボンを留めている紙片は友禅紙ですが、内張には洋紙を使用しています。
本体の綴じ糸はDMCの刺繍糸を使っています。
和洋さまざまな素材を組み合わせ、フォルムをつくりあげていくうちに、『睡蓮』のもうひとつの姿が現われました。

思わぬ場所から忽然とあらわれた記録のような、「ふみ」のような、とても個人的な記録のようにも思える姿になりました。
リボンをほどき、つばくろを開き、取り上げる。
そんな「過程」を含む本に仕上がりました。(佐藤りえ)

・本文用紙の表面に見える細かい物質は紙漉きの素材に含まれる繊維です。紙の特性であり汚れではありません。ご了承ください。
・つばくろの内張り用紙(赤)に外側の友禅紙の白い染料が付着することがあります。消しゴムで消すことができます。
・上巻表紙のロクタ紙は手漉き紙です。表面に繊維の凹凸や細かい穴がある場合があります。紙の特性のため、ご了承ください。


シリアルナンバー入り。
  • 6,000円(内税)